日本人 旅行中の実施率は低い 混雑する場所や時間は避ける
旅行中に特化したSDGsに関わる具体的な行動を例示し、「実際に実践していること」と「今後実践したいこと」の両方について意向を聞いた。
旅行中に「実際に実践していること」の上位三つは、スウェーデンが「歯ブラシ、ブラシ、化粧品はなるべく持参する」(66.6%)、「連泊する場合の宿泊施設でのシーツやタオルなどの取り換えや部屋掃除の辞退」(44.7%)、「スリッパやパジャマはなるべく持参する」(44.0%)だった。ドイツの1位はスウェーデン同様「歯ブラシ、ブラシ、化粧品はなるべく持参する」(64.3%)で、「スリッパやパジャマはなるべく持参する」(52.5%)、「混雑する施設や場所への訪問は避ける、もしくは混まない時間に訪れる」(49.9%)と続いた。日本の上位三つは「混雑する施設や場所への訪問は避ける、もしくは混まない時間に訪れる」(33.4%)、「歯ブラシ、ブラシ、化粧品はなるべく持参する」(32.5%)、「旅行先の地域の農産品や工芸品の購入」(27.5%)だった。
スウェーデン、ドイツで「歯ブラシ、ブラシ、化粧品の持参」や「スリッパやパジャマの持参」の実施率が高いのは、日本は海外より宿泊施設のアメニティの提供や、貸し出し品が充実している影響があると思われる。「特に実践していない」はスウェーデン6.3%、ドイツ5.0%に対し、日本は31.7%と大幅に高く、日常生活同様、日本人の旅行中のSDGsに関わる行動の実践率は非常に低い=図表1。
今後、旅行中に実践したい行動の上位三つは、スウェーデンは「歯ブラシ、ブラシ、化粧品はなるべく持参する」(51.7%)、「連泊する場合の宿泊施設でのシーツやタオルなどの取り換えや部屋掃除の辞退」(43.3%)、「旅行先の地域の文化施設への訪問(博物館・郷土資料館・文化財など)」(38.5%)だった。ドイツの1位も「歯ブラシ、ブラシ、化粧品はなるべく持参する」(35.5%)で、次に「混雑する施設や場所への訪問は避ける、もしくは混まない時間に訪れる」(33.9%)、「レンタカーはEVやハイブリッドを指定する」(33.8%)となった。日本は「レンタカーはEVやハイブリッドを指定する」(16.3%)、「被災地など応援したい地域を旅行先として選択」(16.1%)、「SDGsや環境保全(カーボンオフセットを含む)に取り組む宿泊施設や観光施設等を利用する旅行ツアーの選択」(14.1%)だった。「特に実践したいものはない」はスウェーデン6.8%、ドイツ7.5%に対し、日本は39.4%という関心の低い結果となったが、日本人の意識には、「旅先くらいは考えたくない・面倒くさい」「あらかじめ用意されている」が根底にあるといえる=図表2。
実践率上位の行動ではないが、スウェーデン、ドイツでは「二酸化炭素を排出する自動車や飛行機での移動を取りやめ」「レンタカーはEVやハイブリッドを指定する」「旅行先の地域の文化活動への貢献」がいずれも20%以上あり、今後の実践意向もより高くなっている点は注目だ。また「SDGsや環境保全に取り組む宿泊施設や観光施設等を利用する旅行ツアーの選択」や「旅行先の地域住民との積極的な交流や体験プログラムの参加」の実践率や今後の意向が日本と比べ大幅に高く、地域側にとっては地域ならではのストーリーを生かした活動の提供を広げる場と機会になりそうだ。
コロナ禍前に問題視されていた「観光公害」や、ここ何年かのSDGsへの関心の高まりを踏まえて、旅行者の立場として「旅行に行く際にもっと持続可能性を意識するようになるには、地域や旅行商品・サービスの提供側がどんな情報発信や推進活動をするといいと思うか」について聞いた。
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